ピーター・ティール:ZERO to ONE
p6
飛び抜けて優秀な頭脳の持ち主にとって大学は、集中すべき課題に沸くための時間を奪い、一般的な活動しか与えてくれない有害なものである。「完全に自主的な知性、何か新しいものを作る決意、そして、それを実現する力を持った者」をその課題に専念させれば、大きな成果を上げることができる(中略)。
p24
未来を考える時、僕らは未来が今より進歩していることを願う。その進歩は次の二つの形のどちらかになる。ひとつは水平的進歩、または拡張的進歩と言ってもいい。それは、成功例をコピーすること、つまり1からnへと向かうことだ。水平的進歩は想像しやすい。すでに前例を見ているからだ。もう一つの垂直的進歩、又は集中的進歩とは、新しい何かを行うこと、つまりゼロから1を生み出すということだ。それまでだれもやったことのない何かが求められる垂直的進歩は、想像するのが難しい。一台のタイプライターから同じものを100台作るのが水平的進歩だ。タイプライターからワープロを創れば、それは垂直的進歩になる。
p41
小さな違いを追いかけるより大胆に賭けた方がいい
出来の悪い計画でも、ないよりはいい
競争の激しい市場では収益が消失する
販売はプロダクトと同じくらい大切だ
p58
クリエイティブな独占環境では、社会に役立つ新製品が開発され、クリエイターに持続的な利益がもたらされる。競争環境では、だれも得をせず、大した差別化も生まれず、みんなが生き残りに苦しむことになる。
p69
競争は価値の証ではなくは快適な力だと分かるだけでも、君はほとんどの人よりまともになれる。
p74
短期成長をすべてに優先させれば、自問すべき最も重要な問いを見逃してしまうー「このビジネスは10年後も存続しているか」というものだ。
p89
既に成功を収めた人たちが、その人脈、資金、経験を使って新しいことを始めやすいのは本当だ。それでも、計画通りに成功したという意見を、世間は軽く見過ぎていないだろうか?
p126
世の中の全ての人は投資家だからだ。起業家にとっての最大の投資はスタートアップにつぎ込む時間だ。だからこそ、どんな起業家も自分の会社が成功して価値あるものになるかどうかを考えなければならない。全ての人は投資家にならざるを得ない。君が仕事を選ぶとしたら、それが数十年後に価値のある物になると信じて選ぶはずだ。
p162
案件ごとに働く人間が入れ替わり、単なる仕事だけの関係しか持てない職場は、冷たいなんてものじゃない。それに合理的でもない。時間は一番大切な資産なのに、ずっと一緒にいたいと思えない人たちのためにそれを使うのはおかしい。職場にいる間に長続きする関係が作れないなら、時間の使い方を間違っている。
p167
ペイパルの経営者として僕がとった最善の柵は、一人に一つの責任を任せることだった。
p175
販売を製品デザインの一部と考えるべきだろう。何か新しいものを発明しても、それを効果的に販売する方法を作り出せなければ、いいビジネスにはならない。
p222
「テスラに入社することは、特殊部隊に入るようなものだ。通常の軍隊も結構だが、テスラで働けばワンランク上に登れる」
p225
こうしたマクロ規模の洞察を得たとしても、企業かがそれを独自の計画に落とし込み、小さな規模から始めない限りマクロトレンドから恩恵を受けることはできない。環境テクノロジー企業も同じだ。
p245
何よりも自分の力を個人のものだと過信してはならない。偉大な創業者は、彼ら自身の仕事に価値があるから重要なのではなく、社員みんなから最高の力を引き出せるから重要なのだ。
p253
今僕帯にできるのは、新しいものを生み出す一度限りの方法を見つけ、ただこれまでと違う未来ではなくよりよい未来を創ることーつまりゼロから1を生み出すことだ。そのための第一歩は、自分の頭で考えることだ。
コメント
大学教員も起業家の心持でゼロから1を生み出しよりよい未来を創っていかなければならないということを、再認識させられました。また、研究室という組織をメンバーのレベルアップと価値の創造の場としていこうという目標を見せてもらったように思います。
具体的な解は書かれていませんが、未来の見方を例示してくれている一冊です。
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