第2章 p116
現状を変化させた後に得るものと失うものを想像したとき、損失回避によって損を大きく感じてしまいます。
第3章 p130
同じように自分も振る舞わないと、守るべき規範を守れていないかのような居心地の悪さを感じてしまうのです。
第3章 p140
人は一般的に、互いの関係性が近かったり、親近感を抱いたりする相手には思いやりの気持ちを強く持って接しますが、疎遠な相手への思いやりは低くなる傾向があります。
第4章 p180
時間のないなかで決断をする場合、人間は直感を重視した「なんとなく正しそうな」決断をしてしまいます。
コメント
本書は、ダニエル・カーネマンの fast and slow で紹介されている種々の行動経済学的な視点を身近な例で紹介しています。
行動経済学の主なポイントを具体例でつまみ食いさせてもらえているように感じました。
社会的距離について本書では家族か家族以外かという視点で距離を例示していましたが、社会的距離はほかにも様々な視点があるように思います。
例えば、見かけたりコミュニケーションを取ったりする頻度です。頻度が高くなるほど社会的距離が縮まるように思います。この状態は、単純接触効果とも呼ばれています。
また、性別や使う言語、年齢や嗜好、職業や時間なども、社会的距離の要素のように思います。
いかに具体的に相手のことを想像できるかが、社会的距離の本質のように思います。
「損失回避」や「プロジェクションバイアス」などの用語は、人々の振る舞いや意思決定のある一場面を切り抜いて説明したもので、その場面についての理解を容易にするものです。
ただ、用語にすることで、そこで思考停止してしまうリスクも持っています。
私たちは、種々の用語を用いてナッジのデザインをしたりしますが、種々の用語の基礎にある人の全体的な意思決定の傾向についての考えも並べて検討したいものです。
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